特許権の期間補償の紹介
華誠特許チーム
特許法とその実施細則の改正に対応するために、国家知識産権局は「特許審査指南」の改正作業を継続的に展開し、2022年10月31日に「特許審査指南改正草案(再意見募集稿)」とその説明を公布し、社会各界の意見を募集した。本日は華誠の特許チームが募集稿における特許権の期間補償に関する内容について皆様にお話する。
特許権の期間補償制度が誕生した理由
周知のように、特許の法定保護期間の起算日は登録日ではなく出願日であるが、特許は登録されてはじめて保護を受けられる。当該制度を打ち出すことは、特許登録の遅延の責任を合理的に評価することを目的としており、出願人自身が原因ではないことが招いた特許権の保護期間の短縮に法的救済を提供し、特許権の有効な保護期間に補償を与え、特許権者の経済的利益を保障している。
それでは、特許権の期間補償とは何か?
2021年6月1日から施行された「特許法」の第42条第2項の規定:発明特許の出願日から4年が経過し、且つ実体審査請求日から3年が経過した後に発明特許権が付与された場合、特許局は特許権者の請求に応じて、発明特許の登録過程における不合理な遅延について特許権の期間補償を与える。ただし、出願人に起因する不合理な遅延は除く。
上記の実体審査請求日とは、出願人が特許法第35条第1項の規定に基づき実体審査を請求し、かつ発明特許出願の実体審査料を満額納付した日をいう。実体審査請求日が公開日より早い場合は、当該公開日から起算しなければならない。
ここで出願人の注意すべき点は、同一の出願人が同日に同一の発明創造について実用新案特許と発明特許の両方を出願し、実用新案特許権を付与された後に発明特許権も付与された場合、発明案件の期間補償には当該条項が適用されないことである。
いつ請求できるか?
上記条件に合致する特許権者は、特許登録の公告日から3ヶ月以内に特許局に請求し、かつ相応の費用を納付することができる。特許権が複数の特許権者によって共有されている場合、特許権の期間補償請求は代表者が行わなければならない。既に特許代理機関に委任している場合、特許権の期間補償請求は特許代理機関が行わなければならない。
享受する特許権の期間補償の日数を如何に確定するか?
通常、補償期間は発明特許権の登録過程で不合理に遅延した実際の日数に基づいて計算する。つまり、登録過程における不合理な遅延期間から出願人に起因する不合理な遅延期間を差し引いて出された日数である。
2つの視座からそれぞれお話する。
1、特許権の登録過程における不合理な遅延期間
(1)一般的な発明特許:発明特許出願日から4年が経過し且つ実体審査請求日から3年が経過した日から登録公告日までの期間。
(2)PCT出願の中国移行案件:国際出願の中国国内段階への移行日から4年が経過し且つ実体審査請求日から3年が経過した日から登録公告日までの期間。
(3)分割出願案件:分割出願の提出日から4年が経過し且つ実体審査請求日から3年が経過した日から登録公告日までの期間。
2.出願人に起因する不合理な遅延期間とは、次のものをいう。
(1)特許局が出した通知に指定期間内に応答しなかったことに起因する遅延:遅延期間は期間を徒過した日から実際に応答した日までとする。
(2)審査延期を請求した場合:遅延期間は審査が実際に遅延した期間とする。
(3)援用の追加に起因する遅延:遅延期間は特許法実施細則第45条に基づき遅延した期間とする。
(4)権利回復請求に起因する遅延:遅延期間は元の期間満了日から回復に同意する旨の権利回復請求審査承認通知書の発行日までとする。当該遅延が特許局に起因するものであることを証明できる場合は除く。
(5)優先日から30ヶ月以内に中国国内段階への移行手続を行った国際出願で、出願人が早期処理を求めなかったことに起因する遅延の場合、遅延期間は中国国内段階への移行日から、優先日から30ヶ月が経過した日までの期間とする。
それでは、登録過程における不合理な遅延に該当しないものは何か?
例えば、手続の中断、保全措置、行政訴訟手続、特許法実施細則第66条の規定に基づき特許の願書を修正した後に特許権が付与された再審査手続など。
最後に、特許権の期間補償を請求した場合、特許局がどのような審査・承認と公示を行うかについて説明する。
(1) 審査の結果、特許権の期間補償請求が期間補償の要件に合致しないと判断した場合、特許局は請求人に意見陳述および/または書類補正の機会を少なくとも1回与えなければならない。その後もなお期間補償の要件に合致しない場合は、期間補償をしない決定を下さなければならない。
(2) 審査の結果、特許権の期間補償請求が期間補償の要件に合致すると判断した場合、特許局は期間補償を与える決定を下し、期間補償の日数を告知しなければならない。また、関連する事項を特許登録簿に登記し、特許公報にて公告しなければならない。
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